和歌山県中学入試の動向
2006年度統一入試は、和歌山県下の各私学にさまざまな影響を与えました。統一日初日に入試を実施した智辯和歌山、2005年度まで大阪府からの受験生がその6割を占める開智については、統一入試の影響を大きく受けました。近畿大学附属和歌山の募集定員増と開智の後期日程新設はこの潮流に対する両校の角逐でありました。もう一つは、もはや看過できなくなった県立中高一貫校との競合関係です。各地域の県立トップ高の併設型としての設立という県教育委員会の動きが、和歌山県内の私立中堅校に与える影響は甚大なるものがあり、各私学はその検査日には合格者登校日を設けるなど、入学者確保・レベル維持に向け尽力してきました。
2005年度までは、京阪神地区、とりわけ巨大市場である大阪府下生の併願先として、滋賀県・奈良県と共に、さまざまな恩恵を受けてきた和歌山県の私学ですが、2006年の統一入試により、それが終焉の時を迎えたのは記憶に新しいところです。
◇受験者数比較 2005年-2007年
2005年度受験者数 2,575名
2006年度受験者数 1,878名 対前年度差異 ▲697名
2007年度受験者数 1,352名 対前年度差異 ▲526名
2008年度、智辯和歌山は、従来の1回募集から前期・後期の2回募集へと入試制度を改変。併せて募集人員を前期100名・後期35名としました。これに伴い算数2回・国語2回・理科1回であった入試科目が各1回ずつにとどまり、配点も変更されました。智辯小学校卒業生の中1進学(内部進学者の発生)による一般募集定員の減少に加えて、同校に後期日程は2008年以降清風南海B日程とバッティングすることになります。
一方統一入試初年度より後期日程を導入した開智は、スーパー理進コース・特進コースの2コース制での募集になりました。スーパー理進は国公立の理系学部や医学部をめざすコースとして位置づけています。和歌山信愛女子短大附属は、入試制度を改変。前期・中期・後期としました。前期・中期の連続日程は、県内他校の後期試験前の受験生確保が狙いです。上記の入試制度改革が奏功し、2008年度の和歌山県下校の受験生は児童数減少という逆風の中一際輝きを見せました。
2009年度、初芝橋本中学校は入試制度改革を実施しました。立命館大学との教学提携によって、立命館大学・立命館アジア太平洋大学へ進学する「立命館コース」と、従来のプログレス、スタンダードに変わる国公立大学現役進学に的をしぼった「英数コース」を新設し、2010年度同校はB日程の先送り(清教学園後期とのバッティング回避)を実施したのは記憶に新しいところです。そして2011年度ですが、立命館コースを英数選抜コースへと名称変更を実施しました。同コースは、2010年度までと同様に立命館大学への進学権利を有したままで国公立大学への進学も可能です。加えて南海高野線沿線の競合校の対抗策としてA2日程を午後入試にしました。
和歌山県では2008年度入試における智辯和歌山中学の制度変更(前後期日程の導入)以来、3年ぶりとなる市内4私学での制度変更がありました。近大附属和歌山が募集定員を増加(+15名)したのです。昨秋の入試説明会でこのことが発表されて以降、志願者増につながるのではと予測されましたが、結果的には前年比▲25名となり、市内4私学の中で、唯一対前年比マイナスとなり、予測に反することとなりました。志願者の集中による競争率上昇への懸念が受験者心理に働いたものと思われると同時に、大阪府南部受験生の「近附和歌山回避」が影響したと考えられます。

高校入試の動向
【公立高校入試】
変化し続ける入試制度
和歌山県の公立入試制度は平成19年〜平成21年度において下記のような変更がありました。

平成21年度において「前期後期制」を撤廃し「一般選抜」のみ実施という大きな変更が行われました。「2段階出願」の制度が復活したとはいえ、受験機会が1回だけとなったことにより、併願私学を含めた受験パターンの見直しなどが必要となり、受験生への心理的負担は非常に大きなものであったと言えます。主な学校の実際の出願状況は以下の通りです。

上の表からもわかるように、大学進学実績があり、人気のある学校を志望していた受験生の中には、第一志望校の受験を断念したケースも生じました。
入試の実施時間、配点については、これまでと同じく各教科50分、100点満点(学校により傾斜配点あり)となっており、傾向・難易度も大きな変化はありませんでした。内申点が大きな意味をもつことに変わりはありませんが、上位校に合格するためには、当日のテストで高得点の実力を備えておく必要があります。
【私立高校入試】
景気低迷の影響はあるものの、
将来の大学進学を見据えた少数激戦入試が続く
和歌山市内の私立高校4校の専願受験者数の推移は以下の通りとなっています。

高校受験者人口の減少、中学受験の活性化、公立高校の復権、といった理由から全国的に私立高校専願受験者数は減少傾向にあります。和歌山県も受験者数減という点では例外ではありませんが、市内私立高校4校にはレベルの高い受験者が集まっており、その背景には、次の3点が挙げられます。
(1) 旧帝大レベルの国公立大学進学実績では、智辯和歌山、近附和歌山の2校が県内でも群を抜いている。
(2) 公立トップ校(桐蔭等)には届きかねるが、一定レベル以上の大学には進学したいと考える層が、私立高校にその夢の実現を期待している。
(3) 安定した学習環境が確保しにくい状況下で、規律ある生活や指導も含めた「よりよい学習環境」を私立高校に求めている。
「公立トップ校の併願校」としての私立高校の位置付けを考えてみますと、智辯和歌山や近附和歌山の場合は大阪の公立トップ校(天王寺、三国丘、大教大附属など)および和歌山の最上位層の併願校としての位置付けと言えそうです。この2校の併願は、和歌山においては公立トップ校の最上位層にのみ適応する非常に高いレベルであることに変わりはありません。開智については、近年入試実績を積み上げながら、確実に併願校から専願校へ変身しつつあります。桐蔭受験者においても中位層以上でなければ併願校としての役割は果たさないレベルになってきていると言えます。つまり「併願合格を確保しておき第一志望校にチャレンジしたい!」という受験者にとっては、開智はもはや「併願校」とは呼べない状況になっているのです。一方、信愛は上記3校に対し、公立トップ校の併願校として大きな役割を果たしていますが、100%安心できるレベルではありません。私立高校の併願合格を手にしてから、公立高校の第1志望校にチャレンジするためには、和歌山のみならず大阪の私立高校の併願受験を念頭においておく必要があります。
平成23年度入試における智辯学園和歌山の定員40名減に代表されるように、私立高校入試はこれまで以上に少数激戦型になることが予想されます。
志望校合格に必要な対策とは…
上記のような高校入試の動向から、「志望校合格」に必要なキーワード(対策)が浮かび上がってきます。

全国の大学入試動向
大学全入時代と言われますが、難関大学の志願者は増加傾向で難易度にも変化がありません。
入学定員が入学希望者数を上回る「大学全入時代」をむかえました。確かに少子化による競争率の低下、大学・学部の新設や受験機会が増加するなど、合格しやすくはなっています。しかし、実際には人気のある大学に受験生は集中し、難関大の志願者は逆に増加傾向。難易度にも変化がないのが現状です。人気の学部はますます入りにくくなっています。こうした状況をふまえたしっかりとした受験対策が必要です。
AO・推薦入試
AO入試での入学が急増。推薦入試とあわせると大学進学者の半数に迫る勢いです。
大学入試は国公立大・私立大ともに、「一般入試」「AO入試」「推薦入試」の3つに分かれます。AO入試・推薦入試の割合は年々高まる傾向にあり、4年制大学進学者全体の半数に迫る勢いです。AO入試は、書類審査・小論文・面接などを組み合わせて学習意欲の高い生徒を取る入試制度です。推薦入試と似ていますが、「グループディスカッションなど推薦入試にない選抜方法を採用」「じっくりと人物を評価するため選考に時間をかける」などの点で異なります。2012年度は、私立大で466校、国公立69校がAO入試を実施しました。ただし、一部の難関大学でAO入試を廃止する動きも見られるので、志望校の入試動向には十分注意しましょう。
センター試験
センター試験は、国公立大・私立大の約9割が利用。
国公立大では5教科7科目が標準です。
2012年度のセンター試験の志願者数は約55万5500人。国公私立合わせて674の4年制大学がセンター試験を利用します。今や私立大のセンター利用数は、2012年度入試では513大学にのぼっています。主要な国公立大のほぼすべてにおいて5教科7科目が課せられるようになっており、受験生にとってはかなりの負担になると思われます。幅広い科目での基礎学力の強化がますます重要になっています。なお、2012年度入試より、社会科において「倫理」と「政治・経済」を統合した「倫理、政治・経済」が新たに加わっており、「倫理」や「政治・経済」を対象から外す大学もあるので注意が必要になっています。
国公立二次/私大入試
大学ごとに配点パターンが異なる国公立二次試験。小論文・面接を課す大学が増加傾向です。
私大入試は複雑で多様化。志望する大学・学部の入試方式に合わせた対策が不可欠となります。
国公立大の二次試験は「センター試験重視型」「二次試験重視型」「平等配点型」と志望大学によって配点パターンが異なるので、注意が必要です。二次試験で小論文や面接を課す大学も増えています。私立大の入試の基本は3教科型の受験ですが、センター試験利用のほか、複線入試・得意科目重視型・試験日自由選択制・地方試験・ユニーク試験などがあり、同じ大学の同じ学部で複数回の受験も可能です。このように多様化する入試方式の情報をつかみ、志望する大学・学部ごとの対策が必須となります。
和歌山県の大学入試動向
大阪大学
大阪大学ではセンター試験は5教科7科目/6教科7科目が基本です。
二次試験は万全な基礎力なしでは対応できない「思考力を要する難問」が出題されています。
大阪大学には、文学部、人間科学部、外国語学部、法学部、経済学部、理学部、医学部、歯学部、薬学部、工学部、基礎工学部があり、全国の動向と同じように5教科7科目/6教科7科目が基本です。前期日程においては人間学部、法学部、医学部保健学科(看護学専攻)を除くと、二次試験の比重が高くなっていますが(経済学部は3つの配点方式で特殊)、所定の倍率を超えると二段階選抜が行われることや難度の高い二次試験に備えて1点でも多く得点することは合否にも大きく影響してきます。




















